KIBI CRAFT

 

工房日誌

木目シートの補修 2012.02.23
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この引出しは木目シート仕上げの家具で、画像のように500円玉大の剥がれが
2箇所見受けられます。

お客さんの立場で考えると、こういうキズってどこで直したらいいのか解らない場合が多いんじゃないでしょうか。
購入した家具屋に相談出来れば問題ありませんが、なかなかそういう訳にも行かない場合も多いんではないかと。

アンティーク家具の修理屋さんであれば、新しい家具はできないと言われるかもしれません。
家具製作所では、木じゃないから出来ない、塗装屋は塗装じゃないと云々。。
じゃシート屋なら シートのメーカーと品番解らないと木目が合わない

踏んだり蹴ったりな感じですが、結局の所、
今回の様なケースは補修屋に相談という選択がベターです。

ウチはと言えば欲張りというか、仕事を選んでいると仕事が無くなってしまうので
何でもやるんです。
割と。

補修屋はどうやって直すかと言えば、面積的にタッチアップになると思います。
僕もそーします。

たかだかこんなサイズですが、あなどれません。

淡い色は案外難しいんです。
本物の木の様に、見る方向で色が変わったりしない分ずっとマシですが。

料金表に30分でできるタッチアップ面積の目安は500円玉程度 と表記しています。

少ないじゃないかと怒らないで下さい。
こういうキズを想定すると、むしろ足りないくらいだったりします。

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途中経過

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よく見れば勿論解ってしまうんですが、
この辺までなら何とかなります。

テーブルのリフォーム 2011.12.05
長すぎる天板を短くします。

大がかりな木工作業が絡んでしまいますと、
設備と知識に乏しいので出来ませんが、
今回のものはすぐに方法が閃いたので受注させて頂きました。

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表面はブナの突板(木を薄くスライスした物)仕上げで、
着色されていないようにも見えますが、
肌に塗るファンデーションのような色で着色されています。

今回のケースで少し悩ましいのが木口の仕上げです。

日本で言う所のいわゆる無垢材、集成材などはテーブルを短くカットしたところで
金太郎飴状に木口が出てくるだけなので、
後は塗装をすれば済んでしまうんですが、
突き板などの化粧材で仕上げられている場合、
天板の中身は主にMDFやパーチクルボードといった、木を粉々にして板状に固めた物であったり、
フラッシュという中空の構造になっています。

ですのでカット後の木口の仕上げが大変だったりします。

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これが木口です。

手持ちの丸ノコではあまりに頼りないので、
とりあえずお茶持って木工所へお邪魔し、昇降盤をお借りせねば


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カット後。
「蜂の巣」 が出てきました。
これを取り除いて代わりの心材を入れます。

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心材を入れた所です。
ここから仕上げて行きます。

ペイントでも何とかなりますが、カットして不要となった方の天板についている
突板を再利用する事に。

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割と綺麗に剥がれてくれました。


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貼付けて色を合わせています。


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塗装後の木口。

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すっきりしました。

輪ジミ 2011.11.06
輪ジミを直します。

一般的に輪ジミと言うとコップなどの水滴、熱などによって白く変質した塗膜の事を
指すことが多く、いわゆるホワイトリングなどと呼ばれている物です。

放って置くとどうなるという程の物では無いので、
気にならなければシミを増やさぬように、少しだけ気を使いながら
放って置けばよいと思います。
(強いて言えば放って置くと輪ジミの痕のまま木地が経年変化する事になるので、
塗装の剥離をしても痕が残るケースはあります。)

シミはみっともないからといって、不安を煽り、
塗り替えを勧めたりする様な事をボクはしません。
というよりも、家具の育て方が一つ解ったと解釈されればそれで良いと思います。

塗り替えの料金安くありませんし。

例えば鉄鍋を洗剤で洗えばサビますし、汚れがこびりつくようになります。
便利なテフロン鍋だって金属製のトングやターナーなどを使って使用していれば
テフロンはすぐに剥がれてしまいます。

堅苦しい事を言いたい訳では無く、それぞれの扱い方を少し知っているだけで、
より使いやすく、長く使えて、何より自分なりの物に育てる楽しみがあります。

脱線。

輪ジミの予防法ですが、先ず輪ジミに気を付けたい代表的な仕上げとして、
オイル、ワックス、セラック、ラッカー、漆などがあります。
普段やってしまいがちな注意点として、
水滴(お酒なども)がつかないようにする(ついてしまったらすぐに乾拭き)
熱いものを直に置かない、
鉄製の物を直置きしない(特にオイル、ワックス仕上げの物)などでしょうか。

白っぽい輪ジミがついてしまった場合、軽度のものであればハンドクリームを刷り込んでも
目立たなくなるかもしれませんよ

今回の物は、シミ取り、細かなキズを目立たなくし摩滅して色が薄くなって来た部分に少し色を入れます。
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ウレタン仕上げですがシミがいっぱいあります。
塗料としての性能が低下している様です。
ウレタンのシミはなかなかしぶといです。

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鍋サイズのシミが色々あります。
このぐらいあるとお店によっては剥離をしなければ取れませんと言われるかもしれません。
その方難しく考えずとも綺麗になり料金も多く頂けます。

剥離をしなくとも濃い着色でごまかす事も可能ですが、
シミを消す のが目的なので、あからさまに今迄の雰囲気を損なう事はなるべく避けたい所です。

ですのでシミを一つ一つ取り除いて行きます。

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これは特に目立つ箇所の修正、補修を終えた所です。
テーブルの端の方に比べ真ん中辺りの色が若干薄いのがお分かり頂けると思います。
良く使う場所は摩滅も早くこのような感じで色が変わってきます。
この色の薄い部分に少しだけ色を加えて行きます。

パズルのようで面白い作業です。

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色を足してムラを取った所です。

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まだ仕上がりではありませんが、だいたいこのような作業です。

綺麗になりますでしょ


テーブルの色抜け 2011.09.16
前回のテーブルをご紹介します。

僕の事を唯一塗装屋と呼ぶ家具屋さんから
「これはどうにもならんわ 脚と椅子はやるから、何とかして 半つやでね」
と言われ預かってきたテーブルの天板です。

鏡面でって言われたら毎月の塗料代だけで精一杯の貧乏修理屋ですので
設備的に難しいんですが、半つやなら何とかなります。


鏡面塗装とかピアノ塗装とかツヤ有りだの半つやだのって何が違うのかといいますと、

僕らの言う鏡面塗装は、書いて字の如しで、鏡の様な写り込みのある塗装をいいます。
木の目を埋め、細かなサンドペーパーで丁寧に塗膜を研いでさらにポリッシャーと呼ばれる磨きマシンでぴかぴかにする塗装を言います。

ピアノ塗装と同義扱いですが、ピアノは機械塗装で機械研磨ですので、あそこまで大きな面積を綺麗な鏡面にするのは手塗りではほぼ無理です。
UV照射器でもあれば何とかなるのかもしれませんが。

でツヤ有りというのは、特に鏡面の様に磨く事も無く、クリヤー塗料を塗りっぱなしで仕上げた物を
指す事が多いです。
ツヤにも段階があり、
全艶消→7分消、→半艶消、→3分消、→艶あり
と、右へ行く程艶が高くなります。
ですので、半つやとは、艶有りでもなく艶消しでもなく、その中間のつや
と言う事になります。

まどろっこしや

話を戻しまして
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一見直す所が無いんですが、

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こんな感じで色が抜けてしまっています。
常にテーブルクロスなどが置いてあって久しぶりに取ったら色が変わっていた
なら解るんですがそうでも無さそうで、
なぜこんな色の抜け方をしたのかは不明ですが、端から端まで綺麗に1本。

こういった場合、周りの色に合わせ、地道に色を乗せて行きます。

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上の写真に2本白っぽいスジがありますね。
左側のスジは木本来の色なのでそのまま、
右側のスジが消してほしいという方なので、これを消したのが下の写真です。


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いそがしや 2011.09.08
以前から申し上げておりました新サービスと新料金。
ようやくまとまりました。

新しさを出そうとホームページの装丁(であってますかね)を変え、料金をいじり始めたが最後
丸1ヶ月位かかってしまいました。
自分の中にある絶対的な感覚を表に置き換える作業がここまで大変なものかと
痛感した次第であります。
料金表を作り、色々なケースを想定し計算し、整合してるかな と ひたすらその繰り返しです。
所詮は頭の中で殆ど作り上げた物なので、変な所があれば修正して行きます。

写真も無く文字だらけ・専門的な言葉で解り辛いのは重々承知しておりますが、
時間をかけて解りやすくしますので。。。

久しぶりに週末はのんびりできそうです。

新サービス始めた所で恐縮ですが、
珍しく有り難い事に修理依頼が溜ってまして、
(普段はいつでもどうぞなんつって余裕ぶっこいてる訳ですが)

早さが売りの1つですが もしかしたら少しお待たせしてしまうかもしれません。
早いのはやっつけてるんじゃなく、工房のキャパの問題で、
早く仕上げて納品しないと、次の仕事が受注できないんです。念の為。

そうかウチは塗装屋だったのかと思わせる程の塗装仕事が続いております。

椅子とセットでダイニングテーブルの塗り替えのお仕事を頂いたのでご紹介します。

椅子は剥がれが補修できる範囲でしたので、補修塗装をし、
テーブルは剥離をしなければなんともでしたので、塗り直しをしています。

画像では解り辛いのですがテーブルがかなり退色してしまっていた様で、
もともと同じ色だった物が椅子よりかなり色が薄くなっていたため、
色をチェアに合わせ、若干濃くしました。

修理前
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左上 修理前
右上 こうしていくことにより、
左下 こうなり
右下 こう仕上がって行きます。

完成
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修理前
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左上 剥離・素地調整
右上 木地着色・シーラー(下地作り)
左下 中塗り(美しい塗膜を形成)
右下 塗膜着色(色を近づけると同時に表情に深みを与えます)

完成
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研磨作業が完全に抜けてますが、研磨してる時間の方が遥かに多いです。
研磨を抜くと、だいたい上の様な作業内容になります。

この他にも仕事を頂いてしまいました。
ありがとうございます。

ちなみに後ろに写っているロールアップスクリーンが上がったり下がったりしてるのは
色をなるべく正確に見る為で、太陽光が入ると、色が動いて全く色が解らなくなる為です。

少し意味が違うと思いますが、条件等色 などで検索すれば少しご理解頂けると思います。
補修には特に欠かせない知識です。

続いてこの方
ポリの補修 
は、またいずれご紹介できると思います。
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