KIBI CRAFT

 

工房日誌

ペインテド パイン 2011.11.24
ちょっとイレギュラーなんですが、
工事前のドアなら塗れるかも ということで。
(作業中の代わりのドアは手配できません)

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ビンテージのドアです。
ずっしりと重たく、材はピッチパインのような物です。
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下塗り。
乾かない乾かない。

久しぶりにペンキ塗りしましたが3日も乾かないとは思いませんでした。
さすがにストーブを入れなんとか。
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ペンキは塗り替えれば全部同じようになるかと言えば、
そうでもありません。
全て剥離をしない限りは、
剥がれて塗ってを繰り返すうちに古い塗膜が不規則な表情を与え
また剥がれて来る頃、別の表情をみせてくれます。
そんなところも古いペイント物の面白さだと思います。

ローラーには出せない刷毛目もまた小気味良い物です。

塩梅が難しいところですが、
特に古い物の見た目の問題は、常にやりすぎちゃイカン と思いながら作業を心がけています。
手を加えた瞬間、たとえクリーニングであっても、作業前の元の姿に戻ることはあり得ません。

それっぽい事 で再現する他なくなってしまいます。

わかりづらいかもしれませんが、
「こんなに綺麗にしちゃったの?」 

「もっと綺麗にして」
の違いです。
後者はやり直せば良いだけの話です。

修理屋は綺麗にしたがる病気がある、
そんな意識を持っていないと、取り返しのつかない事になりかねないので
その取捨選択がこの仕事の難しい所。


ヒット 2011.11.16
ホームセンター周りは日課のようなもので、
毎度毎度何か無いかと見て回るわけです。
特に県外へ出るとしらみつぶしに見ないと気が済まないタチで、
先日アピタという所で面白い物を見つけました。

その名もバキュームブロワガン。
そのまんまです。
解りやすくて良いかもしれませんね。

コンプレッサーがあれば使えるエア工具の部類に入る物で、
ワンタッチで掃除機に変身してしまう驚愕システム。

今まで空気を出すだけと思われた物だけになんだか新鮮です。
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これがバキュームブロワガン

こういう変化球があるとホームセンターもぐっと面白い。
ホームユースばっかで良いもん無いよって言う人もいますが、
プロユースとは違う気の抜けた面白さがあります。

先端のアタッチメントは色々変えられるようになっており、吸ったゴミは袋にたまるようになっています。

仕事柄木クズが良く出るんですが、据え置きの集塵機は無く、簡易的な集塵機で掃除を済ませていたのですが、ホースも太いので取り回しが悪く使いづらいのが難点。

ハンディータイプの掃除機が欲しかった所です
エアは結構食いますが、吸い込む力は十分で、もう手放せません

内部のパーツを表裏変える事で集塵機とダスター(空気を出す)の1台2役と言うのが売り文句のようですが
これ買う人はほぼダスターくらい持ってるでしょ というのと、
パーツを入れ替えてる暇があれば、ダスターに交換すれば良いじゃんという
その辺もう少し詰めて欲しかった気もしますが。

安い物はムダな機能が多いってのは何でも一緒です。
でもすこぶる便利。
車のルームクリーニングにも良いんではないかと。


ミズメザクラ 2011.11.15
新規の塗装もやってます。

材はこんな感じ
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見た事無い材です。

後で聞いたら ミズメザクラ と言うんだそうです。
サクラと言いながら樺のお仲間らしく、

ググってみた結果、
松本民芸家具に使われるのもこの材なんだそう

着色は濃いめになりますが、塗った事無い材は特に慎重に塗って行きます。

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かなり弱気な着色。
ムラも出ず一安心。
心材と辺材の色の違いは着色も濃い事ですし、後で十分カバーできます。

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ツートンカラーではなくボクなりの危険回避。
今回吹き付け塗装なので、その場合どうしても
フチと板の境目にムラができてしまいます。

こういう入隅はガンの吹いたエアが抜けず跳ね返ってしまい、真ん中よりもずれた所の色だけ
濃くなってしまうんです。
だから今回は初めにマスキングして板だけ着色を済ませてしまい、

完全硬化を待っていては納期に間に合わないのでフチの養生は

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小道具を作って解決。
普通入り隅を塗る時はこんな下敷き的な物を片手に、塗るんです。

後で塗装専門外の職人さんに納品した時どうやって塗った?というのでこの説明をしたら
そんなシロウトみたいな事してと、怒られてしまう。

ボクより半世紀位は先輩なので何も言えず

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仕上がり


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いつの間にか菊だらけの実家
菊屋でも始めるんだろーか
輪ジミ 2011.11.06
輪ジミを直します。

一般的に輪ジミと言うとコップなどの水滴、熱などによって白く変質した塗膜の事を
指すことが多く、いわゆるホワイトリングなどと呼ばれている物です。

放って置くとどうなるという程の物では無いので、
気にならなければシミを増やさぬように、少しだけ気を使いながら
放って置けばよいと思います。
(強いて言えば放って置くと輪ジミの痕のまま木地が経年変化する事になるので、
塗装の剥離をしても痕が残るケースはあります。)

シミはみっともないからといって、不安を煽り、
塗り替えを勧めたりする様な事をボクはしません。
というよりも、家具の育て方が一つ解ったと解釈されればそれで良いと思います。

塗り替えの料金安くありませんし。

例えば鉄鍋を洗剤で洗えばサビますし、汚れがこびりつくようになります。
便利なテフロン鍋だって金属製のトングやターナーなどを使って使用していれば
テフロンはすぐに剥がれてしまいます。

堅苦しい事を言いたい訳では無く、それぞれの扱い方を少し知っているだけで、
より使いやすく、長く使えて、何より自分なりの物に育てる楽しみがあります。

脱線。

輪ジミの予防法ですが、先ず輪ジミに気を付けたい代表的な仕上げとして、
オイル、ワックス、セラック、ラッカー、漆などがあります。
普段やってしまいがちな注意点として、
水滴(お酒なども)がつかないようにする(ついてしまったらすぐに乾拭き)
熱いものを直に置かない、
鉄製の物を直置きしない(特にオイル、ワックス仕上げの物)などでしょうか。

白っぽい輪ジミがついてしまった場合、軽度のものであればハンドクリームを刷り込んでも
目立たなくなるかもしれませんよ

今回の物は、シミ取り、細かなキズを目立たなくし摩滅して色が薄くなって来た部分に少し色を入れます。
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ウレタン仕上げですがシミがいっぱいあります。
塗料としての性能が低下している様です。
ウレタンのシミはなかなかしぶといです。

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鍋サイズのシミが色々あります。
このぐらいあるとお店によっては剥離をしなければ取れませんと言われるかもしれません。
その方難しく考えずとも綺麗になり料金も多く頂けます。

剥離をしなくとも濃い着色でごまかす事も可能ですが、
シミを消す のが目的なので、あからさまに今迄の雰囲気を損なう事はなるべく避けたい所です。

ですのでシミを一つ一つ取り除いて行きます。

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これは特に目立つ箇所の修正、補修を終えた所です。
テーブルの端の方に比べ真ん中辺りの色が若干薄いのがお分かり頂けると思います。
良く使う場所は摩滅も早くこのような感じで色が変わってきます。
この色の薄い部分に少しだけ色を加えて行きます。

パズルのようで面白い作業です。

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色を足してムラを取った所です。

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まだ仕上がりではありませんが、だいたいこのような作業です。

綺麗になりますでしょ


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