KIBI CRAFT

 

工房日誌

輪ジミ 2011.11.06
輪ジミを直します。

一般的に輪ジミと言うとコップなどの水滴、熱などによって白く変質した塗膜の事を
指すことが多く、いわゆるホワイトリングなどと呼ばれている物です。

放って置くとどうなるという程の物では無いので、
気にならなければシミを増やさぬように、少しだけ気を使いながら
放って置けばよいと思います。
(強いて言えば放って置くと輪ジミの痕のまま木地が経年変化する事になるので、
塗装の剥離をしても痕が残るケースはあります。)

シミはみっともないからといって、不安を煽り、
塗り替えを勧めたりする様な事をボクはしません。
というよりも、家具の育て方が一つ解ったと解釈されればそれで良いと思います。

塗り替えの料金安くありませんし。

例えば鉄鍋を洗剤で洗えばサビますし、汚れがこびりつくようになります。
便利なテフロン鍋だって金属製のトングやターナーなどを使って使用していれば
テフロンはすぐに剥がれてしまいます。

堅苦しい事を言いたい訳では無く、それぞれの扱い方を少し知っているだけで、
より使いやすく、長く使えて、何より自分なりの物に育てる楽しみがあります。

脱線。

輪ジミの予防法ですが、先ず輪ジミに気を付けたい代表的な仕上げとして、
オイル、ワックス、セラック、ラッカー、漆などがあります。
普段やってしまいがちな注意点として、
水滴(お酒なども)がつかないようにする(ついてしまったらすぐに乾拭き)
熱いものを直に置かない、
鉄製の物を直置きしない(特にオイル、ワックス仕上げの物)などでしょうか。

白っぽい輪ジミがついてしまった場合、軽度のものであればハンドクリームを刷り込んでも
目立たなくなるかもしれませんよ

今回の物は、シミ取り、細かなキズを目立たなくし摩滅して色が薄くなって来た部分に少し色を入れます。
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ウレタン仕上げですがシミがいっぱいあります。
塗料としての性能が低下している様です。
ウレタンのシミはなかなかしぶといです。

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鍋サイズのシミが色々あります。
このぐらいあるとお店によっては剥離をしなければ取れませんと言われるかもしれません。
その方難しく考えずとも綺麗になり料金も多く頂けます。

剥離をしなくとも濃い着色でごまかす事も可能ですが、
シミを消す のが目的なので、あからさまに今迄の雰囲気を損なう事はなるべく避けたい所です。

ですのでシミを一つ一つ取り除いて行きます。

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これは特に目立つ箇所の修正、補修を終えた所です。
テーブルの端の方に比べ真ん中辺りの色が若干薄いのがお分かり頂けると思います。
良く使う場所は摩滅も早くこのような感じで色が変わってきます。
この色の薄い部分に少しだけ色を加えて行きます。

パズルのようで面白い作業です。

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色を足してムラを取った所です。

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まだ仕上がりではありませんが、だいたいこのような作業です。

綺麗になりますでしょ