こネタ 2011.05.20
少し役立ち明日から快適に過ごせるかもしれない修理の小ネタを一つ。
この写真は修理後の写真でありますが、取っ手が木目方向に パリっと割れていました。
(矢印がジョイントした箇所です)
取っ手の厚みは3ミリ弱と薄く接合部のみをくっつけてもすぐに取れるのは目に見えています。
一度取れてしまうと再接着しても力が分散せずやはり折れてしまうものです。
作り直すも良し、裏から木で補強するでも良いと思いますが、
今回は、「吉野紙」。
どう修理するかはそこにかかる負荷によって、感覚的に使い分けます。
吉野紙はようやく見つけた補修材でもなんでも無く、工房に常にある物なのでこれを使っています。
これは塗料の濾し紙(和紙)ですが、なかなかあなどれません。
実は取手の表面と裏面に、木目と紙が破けやすい方向が交差するように貼っています。破損箇所を中心に2プライもやれば十分ではないでしょうか。
樹脂を染み込ませる事により紙が透明になり、木目がすっきりと見えます。
こうする事で3次元的な強度を出せる事と、割れた箇所に集中する力を分散させる効果があります。加えて、オリジナルの色や雰囲気をほぼ維持できるのです。
(多少 目 はつぶれてしまいますけどね、 クローズポアです)
さも僕が思いつきました感ですが、身近なところではFRP、漆器では 布着せ といった技術がありますね。
それをパクった訳です。
貼り繋がりでいくと最近デコパッチが気になります。
たまにはしごとしごと。
リメイク になるのかな ちょい足し。
お世話になりっぱなしの
宮本さんから、ワンシーターソファの皮が剥げてしまっている部分なんとかなりませんかって事で、お邪魔してきました。
ボンクラさんで余ったソファのようで、それを引取りにきた方が修理をご希望との事だったようです。
アーム部分の先端の合皮が剥げてしまっており、ガムテで補修された跡がありました。
しつこい様ですが、皮とか張り物関係はまだまだ専門外です。レザーリペアって方法もありますが、道具が無い。
レザーリペアってあのー、皮の質感をかたどってシリコンのよな充填材でで穴埋めて色付けるってやつです。車のシート屋さんがよくやってます。
だから道具が無い。
タッチアップなら5分で終わるんですけどね。
でも実際無料で引き取ったものとかリサイクルショップに安く出てそうな家具に気持ちよく万単位のお金を出す人はそういません。
施工は一点一点考えながらの手作業で、まとまった時間も費用も必要なんですけどね
割と高額な修理より買った方が安いと考えるのが普通で、
この辺でどう付加価値を出せるかにいつも苦労するわけですよ
価値ってもそれは自分の中で見い出すもんだと思いますが。
そんな考えだから流行もんにとんと うとい。死活問題。
んで、木を置く事を提案した所、即採用。工賃も決まり、預かって参りました。
さてなにから始めようか
よく見ると奥のソファは座面が不自然なヘコミ方してます。
座るとやっぱりべこべこ
興味本位で点検点検。
開けながらすぐ解ったんですが、ワラがどっさりこぼれてきました。
奥の麻布がしっかり破れてます
正直見てしまった感がありますが、放置できる程神経が図太くないので、やっぱりばらします。
こんな事やってるからいつまでたっても もうかりません。
とりあえず補修完了として、次に進みます。
ようやく本番。まずアームの余分なスポンジを取り除きます。その後釘でレザーを固定し、
カッターで不要な部分をカット
木を置いて、ここまで長かったなーと思いつつ、色をどうしようか考えます。
どうしようかというのは、おまかせ だったので。
お任せは難しいんですが、わりと好きで。
お客さんからも提案がありましたが一番ベターというか無難な色は脚の色に合わせる事です。
でもですよ、脚の色に合わせるとただでさえ重いトーンの色なのにそれに拍車がかかり、なんというか
書道教室とかにありそうな、妙に所帯染みた感じになります。悪くないけどイメージと合わない。
次に無着色のクリア・オイルフィニッシュも考えました。自然な感じが好きな方が好む仕上げです。
天然生活。
いや、チョコブラウンのシートと真逆の方向を向いているというか、無難な選択ではありません。
お任せといっても冒険し過ぎな感じです。
でオークの様な色は(黄色系)どうかなと思って合わせてみたんですが、補色のせいか、ちょっとうるさい感じでした。それで色々あてがって考えた結果、ストックしてたケヤキ系統の色が、割とどんな部屋に置いても合わせやすく無難だとの結論に至りまして
がしがし塗って行きます。普通にツヤありです。
ソファのダメージがあるのでツヤありくらいの方がキズが解って自然と全体に馴染んで行くかと。
半つやだと無難に仕上がりますが、キズが目立ちにくい分、なかなか全体の調和がとれてこないと思ったので。
で完成。
しっかり固定できてますが、裏はダボと両テで止まってるだけなので脱着も苦労しません。
(万が一に備え塗り替えに対応)
いい味出しそうな塗装です。これから楽しみですね
入山 2011.05.07
釣果はイマイチですが、ほぼ毎日山通いしておりました。
裾花はダムの放流と工事で全然だめでした。須坂がいいです。近いし魚がいっぱい。
千曲漁協で年券買おっと
。
初めて山にんじん?なる山菜を食べてみました。山人参かどうか確かめる術が無いので
そうだと思うしかありません。メイビーヤマニンジン。引っこ抜いたからには頂くのが道理というもので。
人参的な葉に朝鮮人参の様な根っこ。
天ぷらで食べた所、結構いけますよ 葉はほぼ味無しというかほろにが。
根は弱い朝鮮人参のよな
好きな味です。ただ2本は食えない感じです。
ところで、
昨日イスの再修理を行いました。今年修理したばかりなので おや と思いましたが、
お話を聞くと少し無理な体勢でご使用になられた為、接合部が緩んでしまった様です。
アームの無いダイニングチェアで背もたれと脚が一体になっているタイプ
脚と脚を繋ぐ棒(貫)も無い為、座面と背もたれの接合部にとても負荷がかかりやすいイスともいえます。
という説明を前回あまりできなかったかなと 反省反省。
とにかく強くとの事でしたのでビスを使い修理しました。
ビスは普段は使いません。
使わない理由として、木地を少なくとも元のコンディションより痛めてしまう事、再修理の時にばらしが困難である事、強力すぎる事、強力な為に他の箇所になんかしらの歪みが出やすい事、ビスで締めましたというダボが残ってしまう事等々ですが、
基本的にまた修理する事を大前提としているので、しかもそれが僕とは限りませんので、
ばらせない修理は結果家具の寿命を縮めてしまいます。それでは本末テントーということでつかっていない訳です。
あ ビスを使ったからといってばらせない訳ではもちろんありませんし、ダボの痕が駄目だと言ってる訳でもないですよ。(隠すこともできますし)必然性だってあります。
10代の頃当時勤めていたアンティークショップで修理したてのほやふやな僕もよくやっていました。
お客さんの家具では無くそのお店の販売する家具で、それがそのお店の直しで、その直しの効率を突き詰めた結果、価格にそれが反映されれば、どちらにとっても悪い話ではありません。
ただ今んところ修理専門なので。
あんまり長いとだれるので、要するに、
派手に壊れるよりは修理できた方がいいですよね。
小っさ